俳句
日は東西風吹いて小鳥来る 藤木洋良
秋晴れの山は淋しく光りけり 藤木洋良
桜紅葉おのれの影に武者震い 藤木洋良
神不在ひとり留守番雨の秋 藤木洋良
不安とは余生を生きる秋の蝶 藤木洋良
悟るとは心空っぽ秋の風 藤木洋良
有無の無は無なり有なり秋の雲 藤木洋良
病気ですこの寂しさは秋の海 藤木洋良
恥じらいが生きて輝く紅葉かな 藤木洋良
死ぬ時節生きる時節や柿の秋 藤木洋良
頬を染め風にせかされ木の実落つ 藤木洋良
公園のベンチに座る蜻蛉の死 藤木洋良
桃二つ皿に並べてエロチシズム 藤木洋良
どんぐりを拾う園児に光あれ 藤木洋良
死に場所は天国にあり秋の蝶 藤木洋良
正直に貧しく生きて鴨渡る 藤木洋良
秋の空去る者は去り晴れ渡る 藤木洋良
長き夜の寂しさほろり老夫婦 藤木洋良
死ぬときは自然のままに秋夕焼 藤木洋良
老妻の化粧短し山粧ふ 藤木洋良
蟋蟀が同居している我が家かな 藤木洋良
初鴨や淋しさ揺れる水の上 藤木洋良
新米の塩お結びに舌鼓 藤木洋良
柿の木に柿がなってる平和かな 藤木洋良
無花果を食ふ老妻はおちょぼ口 藤木洋良
肥ゆるのは老妻ばかり秋曇り 藤木洋良
鰯の目のぞけば見える日本海 藤木洋良
秋うらら風で開いたよ狭き門 藤木洋良
命日やお供へものの梨を食ふ 藤木洋良
生きがいは飛ぶことだけさ秋の蝶 藤木洋良
